補助対象事業者要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、事業者自身の属性に関する要件のことです。補助対象事業者となるには、申請者が、中小企業等や中堅企業等に該当しなければなりません。また、例外に該当した場合は、補助対象者とはなりません。
補助対象事業者要件診断フローチャート
補助対象事業者に該当するかどうかは、以下のフローチャートで簡単に確認ができます。
事業再構築補助金の補助対象事業者とは
事業再構築補助金の補助対象となる事業者は、次のいずれかの事業者に該当する必要があります。
事業再構築補助金の補助対象者
- 中小企業者等:「中小企業者(会社・個人事業者)」と「会社・個人事業者以外の一部の法人」
- 中堅企業等:中小企業者等に該当しない大企業のうち、一部の条件を満たした会社・個人事業者・それ以外の一部の法人
参照:事業再構築補助金公募要領
以下、具体的に解説していきます。
中小企業者等とは
中小企業者等とは「中小企業者」と「会社・個人事業者以外の法人」
中小企業者等とは、主に「会社・個人事業者」が対象となる中小企業者と、それ以外の法人を総称したものです。
一般的な事業者は、前者の中小企業者に該当することが多いと思われますが、それ以外の法人は、後者の一部の法人に該当する可能性もあります。
以下、それぞれについて解説していきます。
中小企業者とは
中小企業者とは、それぞれの業種ごとに、それぞれの資本金または常勤の従業員数のどちらか一方(個人事業者の場合は常勤従業員数のみ)が下記の表の数字以下となる会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社)または個人事業者のことです。
中小企業者 | ||
---|---|---|
業種 | 資本金 (※1) | 常勤従業員数 (※2) |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
※1 資本金とは、資本の額または出資の総額をいいます。なお、個人事業者は、資本金については判定せず、常勤従業員の人数だけで判定します。
※2 常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」(常時使用する従業員・常勤従業員とは?)をいいます。
※3 資本金および常勤の従業員数の両方(個人事業者の場合は常勤従業員数のみ)が上記の表の数字を超える場合、大企業に該当します。
参照:事業再構築補助金公募要領
いわゆる会社組織の事業者や個人事業者は、この中小企業者に該当するかどうかの判断となります。
中小企業者に該当しない「みなし大企業」とは
ただし、中小企業者の表の要件に適合した中小企業者であっても、以下の5つのいずれかに該当する場合は、大企業扱いとなります。
中小企業者の例外となる「みなし大企業」
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業(※)が所有している中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
- 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額を上記1.~3.に該当する中小企業者が所有している中小企業者
- 上記1.~3.に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者
※1 ここでいう「大企業」とは資本金および常勤の従業員数の両方が上記の中小企業者の表の数字を超える事業者であって、後述の中堅企業に該当しない(=資本金等が10億円以上)企業のことです。
※2 上記の役員には、社外取締役と監査役は含みません。
参照:事業再構築補助金公募要領
これを「みなし大企業」といいます。みなし大企業となる中小企業者は、事業再構築補助金の補助対象者とはなりません。
【注1】 大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。
引用元: 事業再構築補助金の概要p.5
ただし、以下の事業者が株式を保有する場合は、その株式の保有比率は、上記の条件とは別計算となります。
中小企業者ではなく中堅企業とみなされる「みなし中堅企業」とは
また、中小企業者の表の要件に適合した中小企業者であっても、以下の5つのいずれかに該当する場合は、後述の中堅企業扱いとなります。
中小企業者の例外となる「みなし中堅企業」
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の中堅企業(※)が所有している中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を中堅企業が所有している中小企業者
- 中堅企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額を上記1.~3.に該当する中小企業者が所有している中小企業者
- 上記1.~3.に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者
※ ここでいう「中堅企業」とは資本金および常勤の従業員数の両方が上記の中小企業者の表の数字を超える事業者であって、資本金が10億円未満の企業のことです。
参照:事業再構築補助金公募要領
これを「みなし中堅企業」といいます。みなし中堅企業の中小企業者は、中堅企業等として事業再構築補助金の対象者となります。
なお、これらの条件に該当しない場合であっても、「応募申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者」は、中堅企業に該当します。
この他、中堅企業等につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
中堅企業等とは、事業再構築補助金の補助対象者となる事業者であって、中小企業者等に該当しない、比較的中規模な事業者のことです。主に、資本金等の額が比較的多い会社が中堅企業等に該当します。
「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人とは
一部の事業者・法人は中小企業者でなくても補助対象となる
中小企業者に該当しない場合であっても、次の一部の法人は、中小企業者ではないものの「中小企業者等」に該当します。
中小企業者でなくとも中小企業者等に該当する法人
- 中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)
- 法人税法別表第二に該当する法人
- 農業協同組合法に基づき設立された農事組合法人
- 非営利型法人に該当しない一般財団法人および一般社団法人
- 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人
- 法人格のない任意団体(申請時に法人となっていて、任意団体として確定申告をしている場合に限る)
※ いずれも従業員数(常勤。事務局に確認済み(2021年6月17日現在))が300人以下である者に限る。
参照:事業再構築補助金公募要領
例外として補助対象とならない法人とは
ただし、以下の法人については、補助対象とはなりません。
補助対象とならない法人
- 法人格のない任意団体(申請時に法人となっていて、任意団体として確定申告をしている場合は申請可能)
- 収益事業を行っていない法人
- 運営費の大半を公的機関から得ている法人
- 政治団体
- 宗教法人
中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)
中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人は、具体的には、以下のものをいいます(非常に多いので折りたたんで表示しています)。
法人税法別表第二に該当する法人
法人税法別表第二に該当する法人は、具体的には、以下のものをいいます(非常に多いので折りたたんで表示しています)。
この他、中小企業者等につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
中小企業者等とは、事業再構築補助金の補助対象者となる事業者であって、大企業や中堅企業に該当しない、比較的小規模な事業者のことです。会社と個人事業者である中小企業者と、これら以外の一部の法人が中小企業者等に該当します。
中堅企業等とは
中堅企業等の対象となり得る事業者とは
中小企業者等に該当しない企業(=大企業)であっても、中堅企業に該当する場合は、事業再構築補助金の補助対象となり得ます。
中堅企業等に該当する可能性がある事業者は、以下のとおりです。
中堅企業等に該当する可能性がある事業者
- 会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社)
- 個人事業者
- 中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)(前述参照)
- 法人税法別表第二にあてはまる法人(前述参照)
- 非営利型法人に該当しない一般財団法人および一般社団法人
- 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人
- 法人格のない任意団体(申請時に法人となっていて、任意団体として確定申告をしている場合に限る)
参照:事業再構築補助金公募要領
ただし、収益事業を行っていない法人や運営費の大半を公的機関から得ている法人は、補助対象となりません。
中堅企業等の要件とは
中堅企業等は、上記の事業者のうち、以下の要件のすべてを満たした事業者のことです。
中堅企業等の要件
- 中小企業者等に該当しないこと(中小企業者等に該当する場合は中小企業者等扱い)。
- 資本金の額又は出資の総額が定められている場合は、その金額が10億円未満の法人であること。
- 資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常勤の従業員数(※)が2,000人以下であること。
※ 常勤従業員につきましては、詳しくは、以下のページをご参照ください。
事業再構築補助金の「常勤従業員」とは、中小企業基本法に規定する「常時使用する従業員」のことで、いわゆる「正社員」に該当します。ただし、「常時使用する従業員」も「正社員」も法的には厳密な定義がありません。このため、事業再構築補助金の申請の際には、公募要領の定義と中小企業庁の解釈を正確に理解する必要があります。
なお、中小企業者であっても、「応募申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える」場合は、中堅企業に該当します。
中堅企業に該当する会社とは
以上の点から、会社組織(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社)の場合、資本金・常勤従業員の両方が以下の表に該当するときは、中堅企業に該当します。資本金・常勤従業員の片方でもこの範囲を超えた会社組織は、事業再構築補助金の補助対象事業者要件を満たさないため、補助対象外となります。
中堅企業等に該当する会社組織 | ||
---|---|---|
業種 | 資本金(※1) | 常勤従業員数(※2) |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円超10億円未満 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円超10億円未満 | 100人以下 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円超10億円未満 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円超10億円未満 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円超10億円未満 | 900人以下 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円超10億円未満 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円超10億円未満 | 200人以下 |
その他の業種(上記以外) | 3億円超10億円未満 | 300人以下 |
※1 株式会社・有限会社の場合は資本金の額、合名会社・合資会社・合同会社の場合は出資の総額をいいます。
※2 常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」(常時使用する従業員・常勤従業員とは?)をいいます。
会社以外で中堅企業等に該当する組織・法人とは
会社組織以外、つまり資本金の額又は出資の総額が定められていない法人や個人事業者の場合は、常勤の従業員数が2,000人以下であれば、中堅企業に該当します(中小企業者等に該当する場合は中小企業者等)。
あくまで公募開始時に補助対象者である必要あり
補助対象事業者要件は、あくまで公募開始の時点で該当している必要があります。
補助対象者の要件は、本事業の公募開始日において満たしている必要があります。…
参照:事業再構築補助金公募要領
また、事業再構築補助金の事業実施期間に限って補助対象事業者となるように資本金・常勤従業員・株主等の調整等をした場合は、申請時点にさかのぼって補助対象外とされる可能性があります。
…また、事業実施期間に限って、資本金の減資や従業員数の削減を行い、事業実施期間終了後に、再度、資本金の増資や従業員数の増員を行うなど、専ら本事業の対象事業者となることを目的として、資本金、従業員数、株式保有割合等を変更していると認められた場合には、申請時点にさかのぼって本事業の補助の対象外となる場合があります。
参照:事業再構築補助金公募要領
補助対象事業者要件を満たした場合は売上高を確認する
補助対象事業者要件を満たした場合は、事業再構築補助金を申請できる可能性があります。
これに加えて、売上高が減少していることが、申請時点における事業再構築補助金の要件となります(売上高(等)減少要件)。
売上高(等)減少要件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
売上高減少要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、コロナ以前の売上高よりも売上高が減少している要件のことです。売上高減少要件は、通常枠・特別枠いずれの枠であっても必須の要件です。このため、事業再構築補助金の申請を検討する際には、最初に売上高減少要件に適合しているかどうかを確認する必要があります。