市場の新規性要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスの属する市場が、新規性を有するものであることです。市場の新規性は、新分野展開、事業転換、業種転換の事業再構築で求められる要件です。
市場の新規性要件とは
市場の新規性要件の定義
市場の新規性要件とは、新製品・新商品・新サービスにより、既存製品・既存商品・既存サービスと置き換わることなく、売上が増大することです。つまり、社内競合や、いわゆる「カニバリ」にならない新製品・新商品・新サービスである、ということです。
市場の新規性要件は、新分野展開、事業転換、業種転換で求められる要件です。
業態転換(製造業・サービス業)の場合は、市場の新規性要件は求められませんが、他方で、製造方法・提供方法の新規性要件が求められます。
新規性は発明の要件である「新規性」とは別物
なお、ここでいう新規性とは、発明の要件である新規性とは異なり、事業再構築に取り組む事業者にとっての新規性のことです。
【注】「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。
参照:事業再構築指針の手引き
2020年4月以降に新たに取り組んでいる事業は「新規性」ありとみなされる
また、2020年4月以降に新たに取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものとみなされます。
2020年4月以降に新たに取り組んでいる事業について、「新規性」を有するものとみなします。
参照:事業再構築指針の手引き
市場の新規性要件の具体的要件
【要件】既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
市場の新規性要件を満たすためには、新製品等を販売した際に、既存製品等の需要が単純に置き換わるのではなく、売上が販売前と比べて大きく減少しないことや、むしろ相乗効果により増大することを事業計画においてお示しください。参照:事業再構築指針の手引き
市場の新規性要件の具体的な要件は、新製品・新商品・新サービスが、既存製品・既存商品・既存サービスとの代替性が低いことと、その製造・提供により、売上が減少せず、増大することです。
事業計画では、この代替性の低さと、そのことのみならず、売上の増大についても提示する必要があります。
代替性と商材開発・売上高の計画はトレードオフ
新製品・新商品・新サービスが既存のものと類似性が低いまったく別物である場合、それぞれ市場が異なりますので、代替性の低さについては容易に提示できます。
他方で、この場合は、新製品・新商品・新サービスの開発や売上高の計画の難易度が高くなります。
逆に、新製品・新商品・新サービスが既存のものと類似性が高く、既存顧客を対象としたものである場合、市場が似通ってきますので、代替性の低さの提示は難しくなります。
他方で、この場合は、新製品・新商品・新サービスの開発や売上高の計画の難易度は低くなります。
代替性と商材開発・売上高の関係 | ||
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代替性の低さの提示 | 商材開発・販売(売上高)の達成 | |
新商材の類似性が低い場合 | 容易 | 困難 |
新商材の類似性が高い場合 | 困難 | 容易 |
このように、新製品・新商品・新サービスと既存のものとの代替性と、これらの開発やその販売等による売上の達成は、一種のトレードオフの関係となります。
このため、事業計画を策定する際には、市場の新規性要件を満たしつつ、その売上高の要件も達成できるような代替性のさじ加減が重要となります。
市場の新規性要件の非該当例
「既存製品・既存サービス等と新製品・新サービス等の代替性が低いこと」を満たさない場合 | 既存の製品又は既存の商品若しくはサービスとは別の製品又は別の商品若しくはサービスだが、対象とする市場が同一である場合。 (具体的には、既存の製品又は既存の商品若しくはサービスの需要が、新製品又は新商品若しくは新サービスの需要で代替される場合) (例)アイスクリームを提供していた事業者が、新たにかき氷を販売するが、単純に従来の顧客がアイスクリームの代わりにかき氷を購入することを想定する事業計画を策定した場合、市場の新規性要件を満たさないと考えられる。 |
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既存の製品又は既存の商品若しくはサービスの市場の一部のみを対象とするものである場合。 (例)アイスクリームを提供している事業者が、バニラアイスクリームに特化して提供するが、単純に従来の顧客が新たに提供するバニラアイスクリームを購入することを想定する事業計画を策定した場合、市場の新規性要件を満たさないと考えられる。 |
参照:事業再構築指針
参照:事業再構築指針の手引き