機械装置・システム構築費とは、事業再構築補助金の補助対象経費の区分のひとつであり、機械設備の購入、製作に要する経費、システムの購入・構築に要する経費のことです。機械装置・システム構築費には、借用に要する経費=リース料・レンタル料も含みます。また、これらの機械装置とシステムの構築を一体としておこなう改良・修繕、据付けまたは運搬に要する経費も対象となります。

事業再構築補助金の補助対象経費となる機械装置・システム構築費とは

【意味・定義】機械装置・システム構築費とは
  1. 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
  2. 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費
  3. 1.又は2.と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費
  • ※1 機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費は「機械装置・システム構築費」となります。
  • ※2 「借用」とは、いわゆるリース・レンタルをいい、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分が対象となります。
  • ※3 「改良・修繕」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うものです。
  • ※4 「据付け」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限ります。
  • ※5 3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。

機械装置・システムともに補助事業「専用」のものに限る

機械装置・システムとも、「専ら補助事業のために使用される」である必要があります。

このため、他の事業と共用する機械装置・システムについては、補助対象経費とは認められません。

この点から、自社で使用するシステム、特にいわゆる「基幹システム」や「顧客管理システム」のように、社内の全事業で使用するシステム開発の経費としては、事業再構築補助金は使用できないといえます。

システムの構築費としては、新サービスそのものとしてのシステムのように、新規事業に限定した形のプロダクト寄りのシステムに活用するべきでしょう。

システム開発は内製化・外注ともに機械装置・システム構築費扱い

上記のとおり、「自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費は『機械装置・システム構築費』となります。」となっています。

このため、いわゆる内製化によって、社内のエンジニアがシステムを構築する場合であっても、その部品(有料の第三者ソフトウェア等のライセンス料等)の購入に要する経費は、こちらの「機械装置・システム構築費」となります。

他方で、外注によるシステム構築であっても、外注費ではなく、こちらの「機械装置・システム構築費」となります。

中古品の機械設備は相見積もり必須

機械設備を導入する場合、原則として新品でなければなりません。

ただし、例外として、3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。

なお、たとえ新品であっても、「可能な範囲において相見積りを取り、相見積りの中で最低価格を提示した者を選定」することとされています。

このため、新品・中古に限らず、相見積もりを取得するべきです。

なお、相見積もりの結果、どうしても最も安い価格を提示した業者に発注しないのであれば、選定する業者について「選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類を整備」する必要があります。

機械装置・システム構築費の見積もりはなるべく事前に取得する

補助事業実施期間中にすべての手続を完了させなければならない

なお、補助対象経費の見積書は、事業再構築補助金の申請の際には添付する必要はありません。このため、見積もりは、必ずしも事前に取得する必要はありません。しかしながら、見積もりは、なるべく事前に取得しておくべきです。

というのも、次の通り、補助対象経費の支払いを含め、すべての手続きを補助事業実施期間に完了しなければなりません。

・以下の補助事業実施期間に、契約(発注)、納入、検収、支払及び補助事業実績報告書の提出等のすべての事業の手続きが完了することが必要となります。
➢ 通常枠、緊急事態宣言特別枠
→交付決定日から12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)。
➢ 卒業枠、グローバルV字回復枠
→交付決定日から14か月以内(ただし、採択発表日から16か月後の日まで)。

特にシステム開発の場合は、それ相応の時間がかかることも考えられますし、場合によっては開発期間が伸びることもあります。

万が一、補助事業実施期間中に納入・検査・支払いが完了できない場合は、補助対象経費として認められなくなります。

その意味で、見積もり・相見積もりはなるべく事前に取得しておき、交付決定があってから、すぐに開発に着手できるようにしておきましょう。

交付決定後の見積もりでは金額が読めない

また、交付決定後に機械設備メーカーやシステム開発業者に見積もりの提示を依頼した場合、事業計画で策定した価格を上回る価格が提示される可能性もあります。

一般的な補助金の制度では、補助経費の金額は、原則として事業計画で策定した金額の範囲内でなければなりません。

制度によっては、補助金額を変更できることもありますが、その場合も、通常は事前に承認を得なければなりません。

このため、想定外の金額が提示されないように、申請の前の時点で、見積もり・相見積りを取得しておくべきです。

システム開発では知的財産権の譲渡・ライセンスを見積書・契約書に明記する

システム開発を外部の業者に委託する場合、知的財産権の取扱いについて、見積書・契約書に明記してください。

事業再構築補助金の補助対象経費は、あくまで「事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資」という位置づけとなっています。

その観点では、開発したシステムの知的財産権(著作権法第27条および第28条の権利を含む。)については、申請者に譲渡されることが望ましいといえます。

ただし、いわゆる汎用プログラムのように、譲渡が難しいものについては、制約・制限がない形でのライセンス契約とすることで、事実上、自由に使用・利用できる状態とするべきです。

参照:著作権法

第27条(翻訳権、翻案権等)

著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)

二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

第61条(著作権の譲渡)

1 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。

2 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

機械装置・システム構築費の具体例

機械装置・システム構築費の具体例
  • 製造業の事業者が新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換として新製品を製造する際に、これに必要な機械設備・システムを導入する場合の機械装置・システム構築費。
  • 宿泊業の事業者が新分野展開としてオートキャンプ場施設を経営する際に、新たに専用の予約システム・顧客管理システムを導入する場合の機械装置・システム構築費。
  • 衣服品販売店の事業者が事業転換として健康・美容品販売店の経営する際に、健康・美容品販売専用のシステムを開発する場合のシステム構築費。
  • 農業機械のリースの事業者が業種転換として通信教育ビジネスに新規参入する際に、当該通信教育を配信するシステムを導入する場合のシステム構築費。
  • 運送業の事業者が業種転換として飲食店を開業する際に、厨房設備を導入し、または専用の予約システムを導入する場合のシステム構築費。
  • 宿泊業の事業者が業態転換としてコワーキングスペースの運営をする際に、専用の予約システムを導入する場合の機械装置・システム構築費。
  • アパレルショップの事業者が業態転換としてECサイトによるネット販売を開始する際に、注文管理システムの構築をする場合のシステム構築費。
  • レストラン経営の事業者が業態転換としてテイクアウト販売をする際に、専用の販売システムを導入する場合のシステム構築費。
  • イベント運営の事業者が業態転換としてライブ・展示会等のバーチャルサービスを提供をする際に、当該バーチャルサービス専用のシステムを導入する場合のシステム構築費。
  • 弁当屋の事業者が新分野展開として施設給食業に新規参入する際に、厨房設備の導入をする場合や専用の生産管理、配送管理、顧客管理等のシステムを導入する場合の機械設備・システム構築費。
  • 芸能プロダクションの事業者が、業種転換として、オンライン演劇に新規参入する際に、当該オンライン演劇を配信するシステムを導入する場合のシステム構築費。

なお、それぞれの事業再構築の概要につきましては、以下のページをご覧ください。