事業再構築補助金の補助対象経費として計上する際、通常の場合と異なり、理由書の整備・追加提出が必要な場合があります。前者は見積もり・相見積もりの場合に必要となるものであり、後者は一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占める場合に必要となるものです。理由書は、いずれも、特別な場合に求められます。

理由書は特別な場合に限って必要となる

【ケース1】相見積もりをしない場合・相見積もりで最低価格の事業者に発注しない場合

補助対象経費を計上する際に理由書が必要なケースのひとつは、見積もり・相見積もりの場合です。

事業再構築補助金の補助対象事業を実施する際、原則として、補助対象経費は、相見積もりを取ったうえで計上する必要があります。この際、最低価格を提示した者を選定する必要があります。

この際、相見積もりを取得しない場合や、最低価格を提示した者を選定しない場合は、相見積もりを取得しなかった理由や、最低価格を提示したものを選定しなかった理由と、価格の妥当性を示す理由書を整備しなければなりません。

出典

採択後、交付申請手続きの際には、本事業における契約(発注)先(海外企業からの調達を行う場合も含む)の選定にあたって、経済性の観点から、可能な範囲において相見積りを取り、相見積りの中で最低価格を提示した者を選定(一般の競争等)してください。また、契約(発注)先1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上になる場合は、原則として同一条件による相見積もりを取ることが必要です。相見積りを取っていない場合又は最低価格を提示した者を選定していない場合には、その選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類を整備してください。市場価格とかい離している場合は認められません。したがって、申請の準備段階にて予め複数者から見積書を取得いただくと、採択後、速やかに補助事業を開始いただけます。

逆に言えば、いずれの経費区分であっても、常に相見積もりを取得し、最低価格を提示した事業者を選定していれば、理由書の整備は必要ありません。

ただし、以下の場合は、相見積もりが必須となります。

相見積もりが必要な補助対象経費
建物費 入札・相見積もりが必要。
機械装置・システム構築費 中古設備の場合は、3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりの取得が必要。
専門家経費 以下の内容に準じるか、または依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円(税別)が上限)。

  • 大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下(税別)
  • 准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下(税別)
すべての補助対象経費 契約(発注)先1件あたりの見積額の合計が50万円(税抜き)以上になる場合は、原則として同一条件による相見積もりを取ることが必要。

【ケース2】一過性の支出と認められる支出が補助対象経費の大半を占める場合

資産性のない経費のみを計上する事業・1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業は理由書必須

補助対象経費を計上する際に理由書が必要なケースのもうひとつは、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占める場合です。この場合は、事業再構築補助金の趣旨とは異なるため、特段の事由がない限り、事業計画として認められません。

一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占める場合の具体例は、以下のとおりです。

【意味・定義】一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占める場合の具体例
  • 資産性のない経費のみを計上する事業
  • 1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業

「特段の事由」がある場合には、応募申請時に、その理由を明らかにした理由書を添付書類に追加して提出することにより、事業計画として認められる可能性もあります。

出典

本事業では、中小企業等が将来にわたって持続的に競争力強化を図る取組を支援することを目的としており、基本的に、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をしていただく必要があります。このため、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合には、本事業の支援対象にはなりません。例えば、資産性のない経費のみを計上する事業や、1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業等、特段の事由がある場合には、応募申請時に、その理由を明らかにした理由書を添付

理由書の書式・記載例について

なお、一過性の支出と認められる支出が補助対象経費の大半を占める場合において提出する理由書は、事業再構築補助金の公式サイトにおいて、次の通り、様式と見本があります。