事業再構築補助金で契約書の作成・取交わしが必要な場合は、どのような場合でしょうか。
事業再構築補助金では、補助対象経費として技術導入費、外注費を計上する取引きにおいて、契約書の作成・取交しが必要とされています。また、一部のクラウドサービス利用費でも契約書が必要となる場合もあります。この他、建設業法、下請法等の法律にもとづき、契約書の作成が必要となる可能性もあります。

公募要領で契約書の作成が必須となる場合

技術導入費・外注費は契約書の作成・取交しが必須

事業再構築補助金の補助対象経費として、契約書の作成・取交しが必須とされてるものは、技術導入費と外注費です。

技術導入費 本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費

  • ※1 知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となります。
  • ※2 技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことはできません。
外注費 本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費

  • ※1 外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用は対象になりません。
  • ※2 外注先との書面による契約の締結が必要です。
  • ※3 機械装置等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上してください。
  • ※4 外注先に、技術導入費、専門家経費を併せて支払うことはできません。
  • ※5 外部に販売するための量産品の加工を外注する費用は対象になりません。
このため、技術導入費・外注費を補助対象経費として計上する場合、こうした契約書の作成に関する費用についても、考慮する必要があります。

クラウドサービス利用費で必要となる場合もある

また、一部のクラウドサービス利用費の場合も、契約書の作成・取交しが必要となる場合もあります。

クラウドサービス利用費 クラウドサービスの利用に関する経費

  • ※1 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費であって、自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません。
  • ※2 具体的には、サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となります。サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象になりません。
  • ※3 サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであって、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分のみとなります。
  • ※4 クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となります(例:ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)。ただし、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費が対象です。 また、パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用は補助対象となりません。
上記のとおり、契約書は、あくまで「サーバーの領域を借りる費用」の確認のための一つの証拠書面として求められるものであるため、見積書等の他の証拠書面がある場合は、必要ではありません。

法律にもとづき契約書の作成義務がある場合

また、公募要領等には記載がないものの、法律にもとづき、当然に契約書の作成が必要となる場合があります。

代表的な例としては、下請法が適用される場合(下請法第3条による)、建設工事請負契約の場合(建設業法第19条があります。

このため、補助対象経費として建物費(建設工事請負契約)、機械装置・システム構築費(システム開発契約等)、専門家経費(ただし契約内容による)、宣伝広告・販売促進費(業務委託契約)、研修費(研修委託契約)等を計上する場合は、契約書の作成が必要となります。

なお、法令違反は、補助金等適正化法第17条第1項に該当し、補助金等の交付決定の取消事由となりますので、契約書の作成には、十分に留意してください。

補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第17条(決定の取消)

1 各省各庁の長は、補助事業者等が、補助金等の他の用途への使用をし、その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基く各省各庁の長の処分に違反したときは、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。

2 各省各庁の長は、間接補助事業者等が、間接補助金等の他の用途への使用をし、その他間接補助事業等に関して法令に違反したときは、補助事業者等に対し、当該間接補助金等に係る補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。/p>

3 前2項の規定は、補助事業等について交付すべき補助金等の額の確定があつた後においても適用があるものとする。

グローバル展開で契約書が必要となる場合

また、補助対象経費とは直接関係ありませんが、グローバル展開(グローバル展開要件)をする事業再構築のうち、海外事業者との共同事業をおこなう場合は、事業再構築補助金の申請の際に、共同研究契約書・事業提携契約書(検討中のものも含む)とその日本語訳が必要となります。

④海外事業者との共同事業

  • 中小企業等が外国法人等と行う設備投資を伴う共同研究又は共同事業開発であって、その成果物の権利の全部又は一部が当該中小企業等に帰属すること(外国法人又は外国人の経費は、補助対象外)。
  • 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(日本語訳。検討中の案を含む)を追加すること。

グローバル展開要件は、中小企業卒業枠(卒業枠)事業再編等要件としてグローバル展開要件を選択した場合と、中堅企業グローバルV字回復枠(グローバルV字回復枠)の場合に、上記の海外事業者との共同事業を選択したときに求められる要件です。

この他、グローバル展開要件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

ポイント

事業再構築補助金において、契約書が必要となる場合は、以下のとおり。

  • 技術導入費・外注費に関する契約の場合
  • 一部のクラウドサービス利用費に関する契約の場合
  • 下請法が適用されるすべての契約の場合(下請法第3条)
  • 建物費に関する契約のうち、建設工事請負契約に該当する契約の場合(建設業法第19条)
  • グローバル展開(グローバル展開要件)をする事業再構築のうち、海外事業者との共同事業(共同研究契約・業務提携契約)をおこなう場合