売上高(等)減少要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、コロナ以前の売上高よりも売上高が減少している要件のことです。売上高(等)減少要件は、通常枠・通常枠以外のいずれの枠であっても必須の要件です。このため、事業再構築補助金の申請を検討する際には、最初に売上高(等)減少要件に適合しているかどうかを確認する必要があります。
売上高(等)減少要件とは?
フローチャートで売上減少要件をかんたん確認
- 売上高(等)減少要件の診断フローチャート
- このフローチャートでは、御社が事業再構築補助金の要件のひとつである売上高(等)減少要件を満たすかどうかを診断できます。
売上高(等)減少要件の定義
新型コロナウイルス感染症の影響による売上高が減少していること
売上高(等)減少要件は、事業再構築補助金の要件のひとつで、新型コロナウイルス感染症の影響により、以下の売上高等の減少があることです。
【意味・定義】売上高(等)減少要件とは
売上高(等)減少要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%または15%以上しており、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること等。
(売上高に代えて付加価値額を用いることも可能)。
参照:事業再構築補助金公募要領
このように、売上高(等)減少要件は、原則として売上高による計算となりますが、第3回の公募要領では、売上高に代えて付加価値額による計算もできるようになりました(ただし、中堅企業グローバルV字回復枠は売上高のみ)。
売上高(等)減少要件は「売上高」または「付加価値額」のいずれかで計算
売上高による計算の場合
売上高による計算の場合の売上高(等)減少要件は、次のとおりです。
(a)2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、(b)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること
参照:事業再構築補助金公募要領
また、売上高は、申請する事業者全体の合計の売上高を意味します。
付加価値額による計算の場合
付加価値額による計算の場合の売上高(等)減少要件は、次のとおりです。
(a´) 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して15%以上減少しており、(b´)2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計付加価値額が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計付加価値額と比較して7.5%以上減少していること
参照:事業再構築補助金公募要領
このように、前者の数字が「売上高10%以上減少」から「付加価値額15%以上減少」に、後者の数字が「売上高5%以上減少」から「付加価値額7.5%以上減少」に代わっています。
ここでいう「付加価値額」は、以下のとおりです。
このように、増収減益、つまり「売上高そのものは減少していないものの、営業利益は減っている」という企業であっても、事業再構築補助金の申請が可能となりました。
「任意の3か月」とは
「任意の3か月」とは、「2020年4月又は10月以降の連続する6か月間」の範囲内であれば連続した3か月である必要はありません。なお、2020年4月~9月のいずれかの月の売上高を一月でも用いる場合、上記の(a)及び(b)の要件を満たす必要があります。
コロナ以前の同3か月とは
「コロナ以前の同3か月」とは、原則として、事業者が任意で選択した3か月と2019年1月~12月又は2020年1月~3月の同3か月となります。
例外として「2018年1月~12月」と比較できる場合とは
なお、なんらかの災害等による影響を受けて、2019年の売上が通常の売上よりも少なかった場合に限り、比較対象を「2018年1月~12月」とすることもできます。
※罹災の影響を受けた場合(災害等の影響を受け、本来よりも2019年の売上げが減っている場合)に限り、2018年1月~12月とすることも認められます。
参照:事業再構築補助金公募要領
2020年4月1日~12月1日に創業した場合も申請可能
2020年4月1日~12月1日に創業した場合は、一定の要件を満たすことにより、特例として事業再構築補助金の申請が可能です。
この場合、「2020年10月以降の連続する6か月間のうち任意の3か月の合計売上高」と「2020年の創業時から同年12月末までの1日当たり平均売上高の3か月分の売上高」を比較した結果、前者の売上高が10%または15%減少していることが要件となります。
このため、創業時からの売上高が相当程度あり、かつ現状で売上高が10%・15%低下していることがポイントとなります。
なお、これに加えて、以下の要件を満たす必要があります。
新規創業特例支援の要件
- コロナ以前から創業計画を有していたことを事業計画において示すこと。
(例えば、2020年3月31日より前に策定した創業計画を提出すること) - 新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少していることを事業計画において示すこと。
(例えば、自社が属する業種の売上が減少していることを公的統計等を用いて示すこと)
参照:事業再構築補助金公募要領
減少幅はグローバルV字回復枠のみ売上高15%以上
売上高の減少幅は、原則として10%以上(2020年4月~)・5%(2020年10月~)となります。例外として、グローバルV字回復枠に限っては、15%以上(2020年4月~)・5%(2020年10月~)となります。
売上高(等)減少要件比較表 | ||
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その他の事業再構築 | グローバルV字回復枠 | |
売上高減少幅 (2020年4月以降) |
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。 | 2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して15%以上減少していること。 | 売上高減少幅 (2020年10月以降) |
2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。 | 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。 |
参照:事業再構築補助金公募要領
※1 いずれも新規創業特例支援の場合を除く。※2 グローバルV字回復枠では付加価値額による代替はできない。
このため、グローバルV字回復枠はそれだけ条件が厳しいといえます。その分、補助金額も8,000万円超~1億円と、最も高額となっています。
なお、グローバルV字回復枠は中堅企業等に限って申請できる枠であり、中小企業者等は申請できません。
この他、グローバルV字回復枠につきましては、詳しくは次のページをご覧ください。
中堅企業グローバルV字回復枠(グローバルV字回復枠)とは、事業再構築補助金の特別枠の事業再構築のひとつで、事業再構築により、中堅企業等が事業計画期間終了までにグローバル展開により事業の大幅な回復を目指すものです。グローバルV字回復枠は、中堅企業等限定の枠で、通常枠に比べて、補助金額が多い反面、目標が達成できなかった場合、返金を求められる点が特徴です。
売上高(等)減少要件はすべての枠で共通の要件
事業再構築補助金には、次の6種類の枠があります。
事業再構築の6種類の枠
- 通常枠
- 大規模賃金引上枠
- 中小企業卒業枠(卒業枠)
- 中堅企業グローバルV字回復枠(グローバルV字回復枠)
- 緊急事態宣言特別枠
- 最低賃金枠
売上高(等)減少要件は、いずれの枠であっても求められる要件となります。このため、どの枠で申請するのかを検討する前に、売上高(等)減少要件に適合しているのかどうかを検討する必要があります。
なお、通常枠と通常枠以外の概要につきましては、それぞれ次のページをご覧ください。
通常枠の事業再構築補助金は、事業再構築補助金の一般的な枠のことで、特別枠(中小企業卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠)に該当しないもののことです。特別枠に比べて、要件が緩やかですが補助金額も少ない点が特徴です。
通常枠以外の事業再構築補助金は、通常枠の要件に加えて、特殊な要件を満たした事業再構築補助金の枠のことです。具体的には、中小企業卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠の3種類があります。要件が厳しいぶん、補助金額も多い点が特徴です。
宣言による売上高等減少要件とは?
緊急事態宣言特別枠には、他の事業再構築補助金とは別に、独自の売上高(等)減少要件があります。具体的には、以下のとおりです。
【意味・定義】宣言による売上高等減少要件とは
以下の(ア)又は(イ)のいずれかの要件を満たすこと。
- (ア)令和3年(西暦2021年)の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~8月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していること。
- (イ)(ア)を満たさない場合には、令和3年(西暦2021年)の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年(西暦2021年)1月~8月のいずれかの月の付加価値額が対前年又は前々年の同月比で45%以上減少していること。
つまり、緊急事態宣言特別枠で事業再構築補助金の申請をする場合は、すでに述べた通常の売上高(等)減少要件とは別に、宣言による売上高(等)減少要件を満たす必要があります。
この他、宣言による売上高等減少要件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
緊急事態宣言特別枠の売上高減少要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、令和3年(西暦2021年)の国による緊急事態宣言に伴い売上高が減少している要件のことです。緊急事態宣言特別枠の売上高減少要件は、緊急事態宣言特別枠に限ったもので、通常の売上高減少要件とは別に必要とされる要件です。
最賃売上高(等)減少要件とは?
最低賃金枠には、他の事業再構築補助金とは別に、独自の売上高(等)減少要件があります。具体的には、以下のとおりです。
【意味・定義】最賃売上高(等)減少要件とは
最賃売上高(等)減少要件とは、以下の(ア)又は(イ)のいずれかの要件を満たすこと。
- (ア)2020年4月以降のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していること。
- (イ)(ア)を満たさない場合には、2020年4月以降のいずれかの月の付加価値額が対前年又は前々年の同月比で45%以上減少していること。
つまり、最低賃金枠で事業再構築補助金の申請をする場合は、すでに述べた通常の売上高(等)減少要件とは別に、最賃売上高(等)減少要件を満たす必要があります。
この他、最賃売上高等減少要件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
最賃売上高減少要件とは、最低賃金枠における事業再構築補助金の要件のひとつで、のことです。最賃売上高減少要件は、最低賃金枠に限ったもので、通常の売上高減少要件とは別に必要とされる要件です。 最賃売上高減少要件とは? 最賃売 …
ポイント
- 売上高(等)減少要件は、すべての事業再構築において求められる事業再構築補助金の要件。
- 比較対象は、「2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高」と「コロナ以前(2019年1月~2020年3月)の同3か月の合計売上高」。
- 減少幅の要件は原則として10%以上。グローバルV字回復枠に限っては15%以上。
- 事業再構築補助金を申請するには、遅くとも2020年1月に事業をおこなっていて、売上高が発生している必要がある。
- 緊急事態宣言特別枠では、通所の売上高(等)減少要件に加えて、宣言による売上高(等)減少要件を満たす必要がある。
- 最低賃金枠では、通所の売上高(等)減少要件に加えて、最賃売上高(等)減少要件を満たす必要がある。