事業再構築補助金の「常勤従業員」とは、中小企業基本法に規定する「常時使用する従業員」のことで、いわゆる「正社員」に該当します。ただし、「常時使用する従業員」も「正社員」も法的には厳密な定義がありません。このため、事業再構築補助金の申請の際には、公募要領の定義と中小企業庁の解釈を正確に理解する必要があります。

常勤従業員・常時使用する従業員とは

常勤従業員とは「常時使用する従業員」(≒正社員)のこと

常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」のことです。

【意味・定義】常勤従業員・常時使用する従業員とは

常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は含まれません。

これは、いわゆる「正社員」のことを意味しますが、「正社員」は厳密な定義がある法令用語ではありません。このため、実際に常勤従業員の人数を判断する際には、公募要領に記載された定義をよく確認したうえで判断する必要があります。

例外に該当しない労働者はすべて常勤従業員

労働者は、原則として、すべて「常勤従業員」となります。例外として、労働基準法第21条の例外に該当する場合は、「常勤従業員」とはされません。このため、「常勤従業員」に該当するかどうかの判断は、例外に該当するかどうかを判断することであるといえます。

ポイント

常勤従業員とは、以下のいずれにも該当しない労働者のこと。

  • 日日雇い入れられる者(いわゆる「日雇い労働者」)
  • 2箇月以内の期間を定めて使用される者(いわゆる「有期労働者」)
  • 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者(いわゆる「季節労働者」)
  • 試の使用期間中の者(いわゆる「試用期間」の労働者)

【参照条文】労働基準法第20条・第21条

第20条(解雇の予告)

1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。

第21条

前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

(1)日日雇い入れられる者

(2)2箇月以内の期間を定めて使用される者

(3)季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者

(4)試の使用期間中の者

「常勤従業員」は補助対象事業者の判断基準

常勤従業員数は、補助対象事業者に該当するかどうかの判断基準となります(いわゆる「補助対象事業者要件」)。また、常勤従業員の数は、補助対象事業者が中小企業者等中堅企業等のいずれに該当するのかの判断基準ともなります。

中堅企業等・中堅企業等は、補助金額の上限や補助率に違いがあります。このため、常勤従業員の人数の計算は、特に慎重かつ正確におこなう必要があります。

この他、常勤従業員の人数の計算につきましては、詳しくは、補助対象事業者要件のページをご覧ください。