中堅企業等とは、事業再構築補助金の補助対象者となる事業者であって、中小企業者等に該当しない、比較的中規模な事業者のことです。主に、資本金等の額が比較的多い会社が中堅企業等に該当します。

中小企業者等・中堅企業等の診断フローチャート

御社が中小企業等・中堅企業等・大企業のいずれに該当するのか、以下のフローチャートで簡単に確認できます。

補助対象事業者要件の診断フローチャート

このフローチャートでは、御社が事業再構築補助金の補助対象となるかどうかと、補助対象者のうち中小企業者等中堅企業等のどちらに該当するかを診断できます(補助対象事業者要件の確認のフローチャートです)。

中堅企業等とは

中堅企業=資本金・常勤従業員が基準を下回る大企業

中堅企業等とは、中小企業者等に該当しない企業(=大企業)や、一定の法人のうち、資本金等の額や常勤従業員の数が一定の基準を下回っているもののことです。また、中小企業者等であっても、一定の要件に該当する場合は、中堅企業として扱われます。

なお、中小企業者等につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

中小企業者等に該当しない企業(=大企業)であっても、中堅企業に該当する場合は、事業再構築補助金の補助対象となり得ます。

中堅企業等に該当しない「みなし大企業」とは

ただし、中堅企業等の要件に適合した者であっても、以下の5つのいずれかに該当する場合は、大企業扱いとなります

中小企業者の例外となる「みなし大企業」
  1. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
  2. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
  3. 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
  4. 発行済株式の総数又は出資価格の総額を上記1.~3.に該当する中小企業者が所有している中小企業者
  5. 上記1.~3.に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者

※ 上記の役員には、社外取締役と監査役は含みません。

(上記の1.~5.の文末には「中小企業者」と記載されていますが、弊所で事業再構築補助金の事務局に確認したところ(2021年6月17日12:00現在)、この定義は、中堅企業等も該当する旨の回答がありました)

これを「みなし大企業」といいます。みなし大企業となる中堅企業等は、資本金10億円以上として扱われるため、中堅企業等に該当せず、事業再構築補助金の補助対象者とはなりません。

【注1】 大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。

なお、以下の事業者が株式を保有する場合は、その株式の保有比率は、上記の条件とは別計算となります。

みなし大企業の例外となる株主
  • 中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社
  • 投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合

この他、みなし大企業につきましては、詳しくは、以下ページをご覧ください。

中堅企業等の概要

中堅企業等は、具体的には、以下のいずれかの者が該当します(それぞれの項目をクリックすると、項目に対応した概要が表示されます)。

会社組織個人事業者その他法人
中堅企業等に該当する会社組織
業種 資本金(※1) 常勤従業員数(※2)
製造業、建設業、運輸業 3億円超10億円未満 300人以下
卸売業 1億円超10億円未満 100人以下
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万円超10億円未満 100人以下
小売業 5,000万円超10億円未満 50人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円超10億円未満 900人以下
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円超10億円未満 300人以下
旅館業 5,000万円超10億円未満 200人以下
その他の業種(上記以外) 3億円超10億円未満 300人以下

※1 株式会社・有限会社の場合は資本金の額、合名会社・合資会社・合同会社の場合は出資の総額をいいます。
※2 常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」(常時使用する従業員・常勤従業員とは?)をいいます。

中堅企業等に該当する個人事業者
業種 常勤従業員数(※)
製造業、建設業、運輸業 300人超2,000人以下
卸売業 100人超2,000人以下
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
100人超2,000人以下
小売業 50人超2,000人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
900人超2,000人以下
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 300人超2,000人以下
旅館業 200人超2,000人以下
その他の業種(上記以外) 300人超2,000人以下

※ 常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」(常時使用する従業員・常勤従業員とは?)をいいます。

中堅企業等に該当するその他法人(※)
業種 常勤従業員数(※2)
全業種共通 300人超2,000人以下

※1 その他法人とは、いわゆる「企業組合等」(中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人)、法人税法別表第二に該当する法人、法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人等のことです。
※2 常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」(常時使用する従業員・常勤従業員とは?)をいいます。

会社組織の場合、資本金・常勤従業員の両方が上記の表に該当するときは、中堅企業に該当します。

以下、詳しい定義を解説していきます。

中堅企業等の対象となり得る事業者とは

中堅企業等に該当する可能性がある事業者は、以下のとおりです。

中堅企業等に該当する可能性がある事業者
  • 会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社)
  • 個人事業者
  • 中小企業等経営強化法第2条第1項第6号~第8号に定める法人(企業組合等)(前述参照)
  • 法人税法別表第二にあてはまる法人(前述参照)
  • 非営利型法人に該当しない一般財団法人および一般社団法人
  • 法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人
  • 法人格のない任意団体(申請時に法人となっていて、任意団体として確定申告をしている場合に限る)

ただし、収益事業を行っていない法人や運営費の大半を公的機関から得ている法人は、補助対象となりません。

中堅企業等の要件とは

主に資本金の金額10億円未満かどうかがポイント

中堅企業等は、上記の事業者のうち、以下の要件のすべてを満たした事業者のことです。

中堅企業等の要件
  • 中小企業者等に該当しないこと(中小企業者等に該当する場合は中小企業者等扱い)。
  • 資本金の額又は出資の総額が定められている場合は、その金額が10億円未満の法人であること。
  • 資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常勤の従業員数(※)が2,000人以下であること。

※ 常勤従業員につきましては、詳しくは、以下のページをご参照ください。

なお、中小企業者であっても、「応募申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える」場合は、中堅企業に該当します。

中堅企業に該当する会社とは

以上の点から、会社組織(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社)の場合、資本金・常勤従業員の両方が以下の表に該当するときは、中堅企業に該当します。資本金・常勤従業員の片方でもこの範囲を超えた会社組織は、中小企業者等・中堅企業のいずれにも該当せず、事業再構築補助金の補助対象事業者要件を満たさないため、補助対象外となります。

中堅企業等に該当する会社組織
業種 資本金(※1) 常勤従業員数(※2)
製造業、建設業、運輸業 3億円超10億円未満 300人以下
卸売業 1億円超10億円未満 100人以下
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万円超10億円未満 100人以下
小売業 5,000万円超10億円未満 50人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円超10億円未満 900人以下
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円超10億円未満 300人以下
旅館業 5,000万円超10億円未満 200人以下
その他の業種(上記以外) 3億円超10億円未満 300人以下

※1 株式会社・有限会社の場合は資本金の額、合名会社・合資会社・合同会社の場合は出資の総額をいいます。
※2 常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」(常時使用する従業員・常勤従業員とは?)をいいます。

中堅企業等に該当する個人事業者とは

また、個人事業者であっても、以下の表の業種ごとに、常勤従業員数の範囲に該当する従業員を雇用している場合は、中堅企業等に該当します。

中堅企業等に該当する個人事業者
業種 常勤従業員数(※)
製造業、建設業、運輸業 300人超2,000人以下
卸売業 100人超2,000人以下
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
100人超2,000人以下
小売業 50人超2,000人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
900人超2,000人以下
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 300人超2,000人以下
旅館業 200人超2,000人以下
その他の業種(上記以外) 300人超2,000人以下

※ 常勤従業員とは、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」(常時使用する従業員・常勤従業員とは?)をいいます。

なお、常勤従業員の数が上記の表の数以下の場合は中小企業者等に該当します。

また、常勤従業員の数が2,000人以上の場合は、中小企業者等・中堅企業のいずれにも該当せず、事業再構築補助金の補助対象事業者要件を満たさないため、補助対象外となります。

会社・個人事業者以外で中堅企業等に該当する組織・法人とは

会社組織と個人事業者以外、つまり資本金の額又は出資の総額が定められていない法人の場合は、従業員数(常勤。事務局に確認済み(2021年6月17日現在))300人超2,000人以下であれば、中堅企業に該当します。

なお、従業員数(常勤。事務局に確認済み(2021年6月17日現在))が300人以下の場合は、中小企業者等に該当します。

また、常勤従業員の数が2,000人以上の場合は、中小企業者等・中堅企業のいずれにも該当せず、事業再構築補助金の補助対象事業者要件を満たさないため、補助対象外となります。

みなし中堅企業とは

中堅企業等として扱われる中小企業者等

みなし中堅企業とは、中堅企業として扱われる中小企業者のことです。具体的には、以下のいずれかに該当する中小企業者をいいます。

中小企業者の例外となる「みなし中堅企業」
  1. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の中堅企業が所有している中小企業者
  2. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を中堅企業が所有している中小企業者
  3. 中堅企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
  4. 発行済株式の総数又は出資価格の総額を1.~3.に該当する中小企業者が所有している中小企業者
  5. 上記1.~3.に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者

※ 上記の役員には、社外取締役と監査役は含みません。

みなし中堅企業の中小企業者は、中堅企業等として事業再構築補助金の対象者となります。

中堅企業等の補助金額・補助率

中堅企業等の事業再構築補助金の補助金額・補助率は、以下の表のとおりです。

中堅企業等の補助金額・補助率
通常枠 グローバルV字回復枠 緊急事態宣言特別枠
補助金額 100万円~
8,000万円
8,000 万円超~
1億円
従業員数5人以下 100万円~500万円
従業員数6~20人 100万円~1,000万円
従業員数21人以上 100万円~1,500万円
補助率 1/2
(4,000万円を超える部分は1/3)
1/2 2/3
補助限定社数 社数限定なし
(採択件数に限りあり)
100社限定 社数限定なし

中堅企業等の特徴

中堅企業等は補助金額が多いが補助率が低い

中堅企業等は、同じく補助対象事業者となる中小企業者等に比べて、次の特徴があります。

中堅企業等の特徴
  • 【特徴1】補助金額は中堅企業者等とほとんど変わらない。
  • 【特徴2】補助率が中小企業者等に比べて低い。
  • 【特徴3】グローバルV字回復枠の対象であり、中小企業卒業枠の対象外である。

【特徴1】補助金額は中堅企業者等とほとんど変わらない

第3回の公募から、中小企業者等・中堅企業等ともに、通常枠の補助金額は従業員数に応じたものに変更され、申請者の事業規模による差がなくなりました。

また、同じく第3回の公募から新設された大規模賃金引上枠や最低賃金枠も、中小企業者等・中堅企業等とも、補助金額は従業員数に応じたものとなっています。

このため、補助金額そのものは、中堅企業等は、中小企業者等とほとんど変わりません。

補助金額概要表
中小企業者等 中堅企業等
通常枠 【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
【従業員数51人以上】100万円~8,000万円
大規模賃金引上枠 【従業員数101人以上】8,000万円超~1億円
中小企業卒業枠 6,000万円超~1億円 対象外
グローバルV字回復枠 対象外 8,000万円超~1億円
緊急事態宣言特別枠 【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6~20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
最低賃金枠 【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6~20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円

【特徴2】補助率が中小企業者等に比べて低い

中堅企業等の補助率は、通常枠・大規模賃金引上枠・中小企業卒業枠では1/2であり、緊急事態宣言特別枠・最低賃金枠では2/3となっています。これは、中小企業者等の補助率に比べて、いずれも低い数字となっています。

補助率概要表
中小企業者等 中堅企業等
通常枠 2/3
(6,000万円を超える部分は1/2)
1/2
(4,000万円を超える部分は1/3)
大規模賃金引上枠 2/3
(6,000万円を超える部分は1/2)
1/2
(4,000万円を超える部分は1/3)
中小企業卒業枠 2/3 対象外
グローバルV字回復枠 対象外 1/2
緊急事態宣言特別枠 3/4 2/3
最低賃金枠 3/4 2/3

【特徴3】グローバルV字回復枠の対象・中小企業卒業枠の対象外

中堅企業等は、グローバルV字回復枠の対象となります。これに対し、中小企業者等は、グローバルV字回復枠の対象外となります。
他方で、中堅企業等は中小企業卒業枠の対象外となります。これに対し、中小企業者等は、中小企業卒業枠の対象となります。

中小企業卒業枠グローバルV字回復枠につきましては、詳しくは、それぞれ以下のページをご覧ください。

中堅企業等に該当する場合は売上高を確認する

中堅企業等に該当する場合、補助対象事業者要件を満たすことになりますので、事業再構築補助金を申請できる可能性があります。

これに加えて、売上高が減少していることが、申請時点における事業再構築補助金の要件となります(売上高(等)減少要件)。

売上高(等)減少要件につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。