付加価値額要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、補助対象事業をおこなうことにより、付加価値額を増加させる要件のことです。付加価値額要件は、通常枠・通常枠以外の枠のいずれの枠であっても必須の要件です。このため、事業再構築補助金の申請を検討する際には、付加価値額の増加を前提とした事業計画を策定する必要があります。

付加価値額要件とは?

付加価値額要件・付加価値額の定義

付加価値額要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、補助事業終了年度の付加価値額と比較して、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%もしくは5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%もしくは5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する要件のことです。

【意味・定義】付加価値額要件とは

付加価値額要件とは、事業再構築補助金の要件のひとつで、補助事業終了年度の付加価値額と比較して、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%もしくは5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%もしくは5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する要件のこと。

なお、ここでいう付加価値額の定義は、以下のとおりです。

【意味・定義】付加価値額とは

付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。

付加価値額における人件費の定義

また、人件費の定義は、以下のとおりです。

【意味・定義】人件費とは(法人の場合)

法人における人件費とは、以下の各項目の全てを含んだ総額をいう。
(ただし、これらの算出ができない場合においては、平均給与に従業員数を掛けたもの)

  • 売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含んだもの。)
  • 一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入れ、福利厚生費、退職金及び退職給与引当金繰入れ
  • 派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用
【意味・定義】人件費とは(個人事業者の場合)

個人事業者における人件費とは、青色申告決算書(損益計算書)における以下の費目をいう。
(丸数字は、所得税申告決算書の該当番号)

  • 福利厚生費+給料賃金(⑲+⑳)

※ 個人事業主の付加価値額算定では、人件費の構成要素である㊳専従者給与(=ご家族の方等のお給料)および㊸青色申告特別控除前の所得金額(=事業主個人の儲け)の2項目を「人件費」に参入せずに計算します。

「補助事業終了月の属する申請者における決算年度」を基準とする

付加価値額の増加の起算点は、「補助事業終了月の属する申請者における決算年度」となります。

よって、補助事業終了月の直後の決算月が基準となります。

「付加価値額の増加」要件は、どの時点を基準として比較するのか。
補助事業終了月の属する申請者における決算年度を基準とします。
例)
毎年5月決算の法人の場合
交付決定:2021年6月
補助事業終了:2022年4月→基準年度:2022年5月
補助事業終了:2022年6月→基準年度:2023年5月

増加幅は原則3%以上、グローバルV字回復枠のみ5%以上

付加価値額の増加幅は、原則として3.0%以上の増加となります。例外として、グローバルV字回復枠に限っては、5.0%以上の増加となります。

付加価値額要件比較表
その他の事業再構築 グローバルV字回復枠
付加価値額要件 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。

このため、グローバルV字回復枠はそれだけ条件が厳しいといえます。その分、補助金額も8,000万円超~1億円と、最も高額となっています。

なお、グローバルV字回復枠は中堅企業等に限って申請できる枠であり、中小企業者等は申請できません。

この他、グローバルV字回復枠につきましては、詳しくは次のページをご覧ください。

付加価値額要件はすべての枠で共通の要件

事業再構築補助金には、次の6種類の枠があります。

事業再構築の6種類の枠
  • 通常枠
  • 大規模賃金引上枠
  • 中小企業卒業枠(卒業枠)
  • 中堅企業グローバルV字回復枠(グローバルV字回復枠)
  • 緊急事態宣言特別枠
  • 最低賃金枠

付加価値額要件は、いずれの枠であっても求められる要件となります。このため、どの枠で申請するのかを検討する場合であっても、付加価値額の増加が見込める事業計画を策定する必要があります。

なお、通常枠通常枠以外の枠の概要につきましては、それぞれ次のページをご覧ください。

利益・雇用・設備投資が重要

以上のとおり、すべての事業再構築において、付加価値額要件、つまり付加価値=営業利益+人件費+減価償却費の金額が重要となります。

これは、言い換えれば、「利益を出し、雇用・賃金を増やし、固定資産等への設備投資をする」ことが求められます。

従って、事業計画を策定する際には、売上計画・雇用計画・設備投資計画を中心に組み立てることが重要となります。

ポイント
  • 付加価値額要件は、すべての事業再構築において求められる事業再構築補助金の要件。
  • 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの。
  • 補助事業終了後3~5年で増加が見込まれる事業計画とする必要がある。
  • 増加幅は原則として年率平均3.0%以上(または従業員1人あたり年率平均3.0%以上)、グローバルV字回復枠に限っては同5.0%の増加。
  • 事業計画では売上計画・雇用計画・設備投資計画が重要となる。